ペンダントライト TSUMUGI A-type|駿河竹千筋細工(谷 俊幸)
紡ぎ
指で撚るような繊細な動き、優しさや人の手の温もりが感じられます。※撚る(よる)=何本かをねじり合わせて一本にする。
一本の竹から生まれる形には、職人の技と、自然の気まぐれが宿ります。竹の職人は、長年の経験で素材の声を聞き、刃の入れ方ひとつで表情を変えていきます。
紙の厚み、繊維の方向、重なり方──すべては手と目と心で測られ、指で撚るような繊細な動きで、静かに形を整えていく。竹と和紙、二つの素材が響き合い、ひとつの作品となるとき、そこには過去と未来をつなぐ「紡ぎ」の物語が宿ります。
私たちは、この手仕事の積み重ねが、百年先までも日本の美を照らすと信じています。
「紡ぎ」──竹のしなやかさと和紙の優しさを結ぶ。通常の和紙提灯では、竹や針金のヒゴが用いられますが、本作では PET樹脂製のヒゴに薄い和紙を巻き付けることで、やわらかな質感を生み出しつつ、ひご自体が落とす影を抑えています。
また、ヒゴとヒゴの間隔をあえて狭くすることで、より繊細な表情を表現しています。ひとつの和紙提灯には、およそ75mもの長さのヒゴが使用されています。
竹ヒゴ(丸ヒゴ)は、熱で形を矯正することはしていません。
竹が本来持っている“しなり”だけに委ね、ゆっくりと曲げています。そのため、曲線は決して均一ではなく、場所によってわずかな揺らぎや個体差が生まれます。けれどそれは、自然が描いた線そのものです。
人の手で整えすぎないこと。
素材の呼吸を残すこと。
均整ではなく、自然のリズムがつくる曲線を、どうぞお楽しみください。

|駿河竹千筋細工とは|

駿河竹千筋細工(するがたけせんすじざいく)は、静岡県静岡市周辺で作られている竹工品です。静岡の安倍川の上流域には古くから良質の竹が自生しており、古くから竹細工が作られていました。駿河竹千筋細工の特徴は、細い丸ひごを1本1本組み上げて作っていることです。「千筋(せんすじ)」とは、幅3尺(約90センチ)の畳に1000本並べられるくらい細い竹ひごを意味しており、直径わずか0.8mmほどの丸ひごを使用します。駿河竹千筋細工は竹に小さな穴を開け、その穴に独特の技法でしなやかに曲げて作った極細の丸ひごを差し込んで、自由な形に組み上げていきます。竹ひご作りから組み立てまでの全工程をほぼ一人の職人の手で行います。それに対し、九州や北陸地方など日本全国に竹細工の産地では、地方の竹細工の多くは平ひごを編んで作り上げます。でき上がった竹細工は竹の持つ色、艶や風合いを生かし、丸ひごの繊細な曲線が生み出す優美なしなやかさが魅力です。
照明作家 谷俊幸
TOSHIYUKI TANI
兵庫県宝塚生まれの照明作家。1950年前後を感じさせるミッドセンチュリーテイスト、日本の伝統工芸の技法を用いた作品を国内外に広く展開。 影の存在を知る事で、光を演出する。ランプのコンセプトは“遊光”。作品によってその光りは花の様にも映り、体で感じるインテリアを作ります。